元々「デザイン思考」とはユーザーが気付かないような本質的なニーズを見つけ、変革を起こすイノベーション思考で、デザイナーがデザインを行う際の思考方法が起点となっています。ですが、最近ではデザイナーの領域に留まらず、ビジネスや経営にも活用される考え方として広まってきています。近年AIの台頭や製品・サービスの多様化に伴い、イノベーションがどの業界においても注目を集めており、デザイン思考に長けた学生を求める企業も徐々に増えてきています。
一般的にデザイン思考は以下の5段階のプロセスを踏むとされています。
①共感
課題とその背景をリアルに把握すべく、現場に近いところで調査をする
②定義
課題のボトルネックを探り、フォーカスすべき具体的問題を絞り込み特定する
③アイデア
設定した課題に対して解決策を思いつく限り洗い出す
④プロトタイプ&⑤テスト
アイデアで出てきた解決策を実際に試してみる。トライアンドエラーを繰り返し、最初に設定した課題を解決できるものに仕上げるべくブラッシュアップを重ねる
サービス設計や、空間設計、ビジネス現場での商品開発やマーケティングのために導入するイメージが強いデザイン思考ですが、学生も日常生活に大いに活用することが可能です。実際に学生生活でどのようにデザイン思考を活用できるのかを具体的にイメージするために、サークル活動を例にとって考えてみましょう。
新入生がほとんど入らず困っているサークルがあるとします。
この課題に対し、デザイン思考のプロセスを活用して解決策を考える場面を想定してみましょう。
①共感
サークルの現状を把握するために新歓に携わっているメンバーに話を聞いたり、ほかのサークルとの違いを検討したりと調査を重ねます。
②定義
新入生が集まりにくい原因を考えていきます。「共感」での調査を元に考えた結果、原因は「サークルが新入生にあまり認知されていない」「活動内容が万人受けするものでなく、興味を持ってくれる人の幅が狭い」の2点にあると考えました。2つ目の原因を改善するとサークルの活動内容が根本から変わってしまう可能性があることから、検討の結果今回は1点目の「認知度の低さ」にフォーカスすることになりました。
③アイデア
多くの新入生に知ってもらうためのアイデアをみんなでブレインストーミングします。多くを検討した結果、「SNSの運用方法の見直し」が最も有効な手段だと話がまとまりました。
④プロトタイプ&⑤テスト
新たなSNS運用方法を実践してみて、改善できるところを随時改善し新入生の獲得につなげていきます。
こうしてみると、これまで特に意識せずとも上記のような課題解決のプロセスを実践していた人もいるかもしれません。堅苦しく考えなくても、日常に自然に導入できる考え方だということがわかるかと思います。アルバイトやゼミなど、大学生活の様々な場面で課題解決のためにデザイン思考を活用できそうですね。
学生生活の様々な場面で活用できるデザイン思考の能力を伸ばすためには、どういった練習を積めばいいのでしょうか?まずは、デザイン思考に関する書籍を読んでみたり、様々なサイトを検索してみるのも良いでしょう。最近は企業の就職活動におけるワークショップなどでデザイン思考をテーマに取り入れるケースも増えています。もっと身近な例では、デザイン思考のトレーニングができるツールとして「5d」というSNSがあります。
ランダムで出てくる人物やシーンを元に、その人物が置かれている状況をイメージして課題を設定したり、他の人が叶えたがっている願望を叶えるアイデアを投稿することで、今までにないアイデアを参加者で一緒に創造するという内容のサービスです。本ツールでイノベーション創発のプロセスを何度も疑似体験することで、自然とデザイン思考が身につきます。ぜひ繰り返し利用して、楽しみながらデザイン思考を体得してみてくださいね。
https://5d-imensions.com/
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