- 日本たばこ株式会社
長きにわたる歴史の中で愛されてきた嗜好品、たばこ。近年は紙巻たばこから加熱式たばこへ移行するユーザーも増え、社会のニーズと共にたばこの在り方は急激に変化しています。たばこ業界のイノベーションや研究・開発職のキャリアについて、日本たばこ産業株式会社(以下、JT)たばこ中央研究所長の三浦 圭吾さんに聞きました。
入社したのは1993年、現在までのキャリアの約8割は研究開発部門(以下、R&D)におりました。残りの2割は事業企画などの本社業務も経験しました。R&Dの中では研究系と開発系、双方でのキャリアを積み、2019年より現職のたばこ中央研究所長となりました。
R&Dの中の部所としての役割ももちろん異なるのですが、それに加え、それぞれ働くときの意識に違いがあります。開発部所は、製造工場での工程に与える影響や商品としてお客様の手元にわたったときの細かな品質にまで配慮します。一方、研究所は、より個々の技術や現象に着目して仕事をしていきます。ですが、それぞれの仕事はつながっているので、研究所と開発部所がそれぞれお互いを知っておく必要があります。
JT R&Dでは、研究所と開発部所間の異動が活発です。ひとつの部所に固定してキャリアを積むことは、あまりありません。
JTは原料となる葉たばこから、完成した製品をお客様の手に届けるまでのすべてに関連して仕事を行っています。そのプロセスには、様々な科学技術が求められます。
紙巻たばこ自体はシンプルな構造をしていますから、技術開発の必要性に疑問を持つひともいるかもしれません。しかし、葉たばこの耕作のような農業技術も私たちにとって重要ですし、お客様が製品に対してどんな認知をされるのか?というところの研究まで、幅広く様々な科学技術を関連付けて用いています。
これまでのたばこ科学は、農業として葉たばこをどのように耕作し、どのように製品に作りこむのかということや、お客様がどのような製品を嗜好されるのかといった領域から始まっています。このような領域を土台に、社会の動きとともに様々な科学が必要となってきたと思います。かつては、安定的に大量生産するための生産技術革新が盛んだった時代もあります。昨今は、加熱式たばこに関連した研究や技術開発が進んでいます。電気によって制御される加熱式たばこは、これまでとはまったく異なる電気系のエンジニアリングが求められるようになりました。今後世の中で、様々な媒体を活用したお客様との相互コミュニケーションが活発になっていくとしたら、そういった技術についても新たに取り入れていく可能性があると思います。社外の情報を積極的に取り入れながら技術を革新していくことが大切でしょう。
加熱式たばこに対する技術開発には1990年代、あるいはそれ以前から取り組んでいました。当時は「加熱式たばこ」とは呼んでいませんでしたが、たばこ葉の燃焼を伴わず煙を発生しない新しいスタイルのたばこ製品についての技術開発や、紙巻たばこの喫煙による健康へのリスクをどのように解消するかは、長らく取り組んできたテーマです。
試験的に市場に投入した製品も多々ありましたが、かつての加熱式たばこはなかなかお客様には受け入れられませんでした。味や香りの面でまだまだお客様の満足に応えられる品質にまで到達していなかったこともありますが、加熱式たばこに必要な電気的な機構を扱うための技術の進展が影響していた部分もあります。お客様に受け入れていただける加熱式たばこを生み出すためには、時間がかかりました。
加熱式たばこの研究開発には加熱部分の機構に関する技術開発や、健康へのリスクとなり得る健康懸念物質の低減に関わる研究など様々ありますが、私は健康懸念物質低減のテーマに若いころから取り組んできました。私だけでなく、R&Dに携わる多くの社員が90年代から研究を続けています
これはJTの特色かもしれません。私たちの中には新たな挑戦無くしては生き残れないという健全な危機感があります。私たちだけでなく、私たちの以前の先輩方も同じ問題意識を持ちながら取り組んできました。従来の紙巻たばこの次の形への挑戦が必要とわかっていたからこそ、その解決策を求めて研究してきたのです。
加熱式たばこの研究開発はもともと研究所内の一つのチームが取り組んでいましたが、今では一つの部所にまでなっています。技術の発展や社会の変化に合わせ、柔軟に対応してきた結果、今の体制があります。
そもそもの嗜好品の定義は非常に難しいのですが、狭義でいうところの「酒、たばこ、コーヒー」というような嗜好品は「生きていくために必要か」という観点で見れば、必須ではないと思います。しかし、人々の生活の中、人生の中で不必要かと問われれば、意外とそうではないと思います。
例えば、私たちは社会的生活をおくるなかでたくさんのルールを守って生きています。ある意味、社会的にふるまうことを強いられている。そんな私たちが、少しだけその縛りを解いて本能を解放する。その時間をつくることが、嗜好品の価値なのでは?と私は考えています。たばこを吸うとか、コーヒーやお酒を飲むという行動で、ふだん抑制しなければならない本能を少しの間なだめているのではないでしょうか。こういった観点で、嗜好品は人々が社会的生活を続けるために大切な役割を担っていると思うのです。
昨今、世の中の変化のスピードが加速していますから、先を見越して動き始められる人財が求められていると思います。また、これまでは個々の力を磨くことに重きを置いていた時代が続いていましたが、今後は他人と自分のアイデアや強みをうまく組み合わせる力が必要です。
私は大阪出身なのであえて関西弁で伝えると、「おもろいこと」を思いつき、実行する力がとても大切な時代だと思います。この「おもろい」というのは、単純に面白おかしいという意味で使っているわけではありません。例えば、深く考えぬき、広くアンテナを張って情報をキャッチし、そして多くの仲間と一緒にモノを作り上げる力が、「おもろいこと」につながっています。ぜひ、「おもろいひと」を目指してみてください。
企業と人のグローバル化。当たり前のように聞き、どこでも誰かが口にする言葉となりました。そんな今だからこそグローバル化の真価が問われる時代です。もはや世界進出は大企業だけのものではない。規模や地域を選ばず様々な産業で企業が海外に進出し、個人ですら商社を頼らず海外で交渉しながら新たなビジネスを生み出しているいま、銀行もグローバル化に対する真の意識と行動力が求められます。
お客様の大切な資産を守るリスク管理と、運用オペレーションをはじめ日常のあらゆる業務を支えるITプラットフォーム。資産運用ビジネスでは、リスク管理とIT活用は常に一体的な高度化が求められ、両分野のプロフェッショナルが果たすべき役割もますます重要になっています。
【前編】デザインの力を存分に活かせる組織づくりへの挑戦
パナソニックのデザイン、そのルーツは1950年代にまで遡ることをご存知だろうか。創業者 松下幸之助がアメリカでの市場視察でビジネスの決め手がデザインになっている現地を目の当たりにし、「これからはデザインの時代である」と痛感したところからはじまる。そして、1951年に日本で初めての企業内デザイン部門がパナソニックに誕生した。そんなパナソニックがなぜ、このタイミングで改めてデザイン組織強化に力をいれるのか。そして、「デザインの力で世の中をより良くしたい」と想う新たな仲間とどのような未来をつくっていきたいのか。パナソニック株式会社 採用人事 石黒様、太田様、コミュニケーションデザイナー黒田様にお話を伺いました。