創造力は鍛えられる!?デザイン思考テスト開発者が語る世の中を変える発想法とは。
創造性はなぜ重要なのか
創造性、イノベーションが必要だと言われ始めて久しいですが、なぜ創造性は求められているのでしょうか。今現在時価総額ランキング上位を占め、世界を牽引しているのは、GAFAMやアリババ、テンセントなどイノベーションに取り組んできた海外の企業ばかりです。日本企業がその一員に舞い戻るためには、創造性を高めていくことが欠かせません。
そしてイノベーションを起こすためには、課題解決力に加え、課題発見力が重要となります。これまでの日本の教育では、主に課題解決力を鍛えることが重視されてきましたが、新たな市場を見つける、つまり課題発見することなしにイノベーションは起こせないのです。
この課題解決力と課題発見力の双方に着目した思考法が、「デザイン思考」です。ここ数年で耳にすることが増えたかとは思いますが、その背景には多くの企業にとって、創造力がより一層求められるようになっているという点が挙げられます。
創造力はデザイン思考で鍛えられる
創造力を鍛えるための思考法であるデザイン思考ですが、主に3つの特徴を持っています。
1点目は、目的思考(逆算思考)であるということ。先行きが不透明なVUCA時代を生きる上では、解決するべき課題や実現したいニーズが何か、目的を明確にしてから手段ややるべきことを考えることが必要になってきます。
2点目は、「正しさ」より「人の心の動き」を重視するということ。物を買うなど人の行動は、論理的に正しいからではなく、そうしたいという気持ちになるからです。ロジカルシンキングはもちろん重要ですが、それだけではイノベーションは起こせません。人の心の動きを考慮に入れたデザイン思考を活用することで、ニーズに応えるサービスが生まれます。
最後に、潜在の課題や意識を捉えることができるということ。ガラケーの利用者がiPhoneの必要性を全くイメージできなかったように、顧客は自分の潜在的欲求を常に言語化できるとは限りません。デザイン思考では、相手に共感することで本人が気がついていない潜在ニーズを探りにいくことができます。またこうした力は新規事業だけではなく、営業、マーケティング、チームワーク、部下のマネジメント、自身のキャリアデザインに至るまで幅広く適用可能になってきます。
良質な課題発見・解決を発掘する際のフレームワーク
イノベーションを起こすには課題発見力と課題解決力の双方が必要ですが、こうした特徴をもつデザイン思考を念頭に置いて考えることで、良質な課題を発掘し、最適なソリューションを提案することができます。良質な課題とは、共感度と未解決度が高い課題です。共感度は本源的欲求に着目し、体験解像度を上げることで高めることができますが、まさにこれこそがデザイン思考が大切にする「共感」と「問題提起」のステップです。加えて、従来トレードオフの関係にあるものは、未解決度が高いものと言い換えることができ、隠されたニーズが潜んでいます。そして良質なソリューションは、実現可能性と新規性の双方を併せ持つものです。これはデザイン思考の「創造」のステップにおいて、物事をバイアスフリーに捉えることで見つけ出すことができます。そのため、創造力はデザイン思考によって鍛えることができるのです。
デザイン思考をキャリアデザインに活かすには
先述の通りデザイン思考が活きる場は、新規事業開発だけにとどまりません。学生の皆さんにとって一番身近なキャリアデザインにも活用することができます。その際にはまず、自分はどのような本源的欲求が強いのか考え、将来のどのようなニーズ(夢)を実現したいのかを体験解像度高くイメージすることが重要です。これまでの経験で自分が心から嬉しかった瞬間を思い返し、それを基に将来なりたい自分を具体的なストーリーとして考えます。そして最後になりたい自分になるための最短経路をバイアスフリーに探すことで、デザイン思考はキャリアデザインに活きてきます。
最後に
今回のイベントを終えて、参加者からは「デザイン思考の具体的なやり方まで教えてもらえたので、今この瞬間から意識の向け方が変わると感じました。」「アイデアの創出のところで、ただ面白いだけでなく、そこには高い共感性がないといけない、というお話が印象的でした。」「人間の本質的な欲求からキャリアを構築していく、という考え方を学ぶことができ非常に参考になりました。」といった声があがりました。
また、今回紹介したデザイン思考力は、5W1Hのフレームに沿ってアイデアを創出する創造セッションと他の受検者のアイデアを4つの観点から4段階で評価する評価セッションからなる「デザイン思考テスト」によって測ることができます。本記事で紹介したデザイン思考力を高めるコツの実践の場として、ぜひ挑戦していただければと思います。
今回のイベントは学生の行動や成長を促していくことを目的として開催されましたが、本記事も読者の皆さんが次の一歩を踏み出すきっかけとなれていれば幸いです。
登壇者:
VISITS Technologies株式会社 代表取締役 松本 勝氏
プロフィール:
東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマンサックス入社。株式トレーダー、金利デリバティブトレーダーを経て、2010年に人工知能を用いた投資ファンドを設立。2014年に当社を設立し、人の創造性を可視化する「デザイン思考テスト」を独自技術(日米特許取得)により開発。また、企業向け意思決定DXツール「VISITS forms」等、企業のイノベーション・DX支援サービスを幅広く展開。
創造性はなぜ重要なのでしょうか。そもそも創造力は一部の天才だけがもっているものではなく、誰もが身につけ活用できるものなのでしょうか。疑問に応えるため、人の創造性を可視化する「デザイン思考テスト」を開発したVISITS Technologies株式会社代表取締役の松本が、早稲田大学キャリアセンター主催イベントにて講演を行いました。在籍学生約100名の参加の声とともに本イベントを振り返っていきます。