デザイン思考カレッジ

人を納得させ、共感を得るための「見せ方」とは?

2021.01.13 イノベーションジム事務局

共感を得るためのカギとなる「ストーリー」について

ストーリーは映画や本の中だけにとどまらず、マーケティングや新規事業の提案の場においても頻繁に用いられています。テレビCMや広告などで印象的なストーリーに触れて、その製品やサービスが記憶に残った経験は少なくないと思います。
一方でこのように誰かが発したストーリーに触れる側だけでなく、自ら発信する側になる場合もあります。具体的にイメージするために、大学生が周囲を巻き込んで新しい取り組みをしようとしているケースを例に考えてみましょう。サークルの新歓活動の一環として、新入生を対象に大学生活についての相談会を実施しようと提案する状況を想像してみてください。その際に、相談会を実施しようと思った背景として、「自分が新入生だった時に大学生活に対して不安を抱いていたので、自分と同じような思いをしている新入生の不安を解消してあげたい」と語ることなどもストーリーにあたります。ただ単に「相談会をやろう」と提案するよりも、このようにストーリーを交えて話したほうが共感を得られやすく、みんなが同じ熱量をもって活動ができそうですよね。
以上のように、人に何かを伝える場合において、その「見せ方」は非常に重要なポイントになるのです。

「Why」から始まるストーリーが共感を呼び、人を動かす

一言にストーリーと言っても、数多くの種類があります。例えば「自分についての」ストーリー。これは先ほどのサークルの相談会の例のように、「なぜ」そのアイデアを実行したいのか自らの思いを語るものです。これ以外にも、どうして今そのアイデアが必要とされているのかや、そのアイデアを実施したことで周囲にどういった影響をもたらすことができるのか、実際にアイデアをどういった流れで進めていくのかなどもストーリーとして語ることができます。なぜそれをやるのか、という「Why」を起点にしたストーリーを用いることによって、相手に自分の言いたいことを共感・理解されやすくなったり、ストーリーを作成する段階で情報を詳細に整理するためアイデアを詳細に言語化できるといったメリットがあります。先ほどのサークルの例でも、アイデアに対しての思いやアイデアが生まれた背景を相手と共有することで、自分の感情をより正確に相手に伝わり共感を生むことがイメージできたかと思います。

話の見せ方を考える上で意識すること

それでは、相手に共感してもらえる話の展開の仕方・見せ方をするためにはどうしたらいいのでしょうか。まずは、話をする相手が誰なのか、そしてその人が最終的にどう感じてくれることがゴールなのかを明確にします。続いてそのゴールに到達するために必要な要素を洗い出します。例えば新規事業を社内に提案する場合であれば、その事業を立ち上げると会社にどういったメリットをもたらすのか、顧客の生活はどのように変化するかなどを説明することが必要でしょう。要素を洗い出すことができたら、次はそれらをさらに細かく掘り下げていきます。会社のメリット、という要素を掘り下げるとしたら、事業を実施すると会社にどの程度の利益が生じるか、企業イメージがどう変化するかなどです。最後に、ここまでで細かく洗い出してきた要素が相手に正しく理解し共感してもらうために、相手の立場になって話の順番を組み立てて仕上げていきます。

最後に

人に話をするときには、相手に理解されやすい・共感を得られることが重要になります。相手の立場に立って考え、どういう順番でどういう内容を話すのかといった見せ方を工夫することで、自分の伝えたいことを漏れなく伝えるために役立つかもしれませんね。