京都大学とイノベーション
大学とイノベーションについて
皆さんの大学も含め、大学とイノベーションは密接な関係であるということをご存知でしょうか?大学研究の評価軸が新規性であることから、大学は市場にイノベーションをもたらす不可欠な知識基盤となっています。実際に、研究成果において有力である大学の周辺地域には、他の地域よりスタートアップ企業が集まり、産業クラスターの形成がされやすい傾向があります。例えば、日本で言えば東京大学のある本郷・渋谷、海外で言えばスタンフォード大学のあるカリフォルニアにはスタートアップ企業が集まっています。
しかしイノベーションを市場で成功させるには、資本や人などの面における、整った起業環境が必要です。そこで、起業環境を整えるのが京都iCAPであり、出資及びハンズオン、インキュベーションや共同研究、産学連携の支援を行っています。では早速京都iCAPの出資をした企業を紹介していきます。
iCAPの投資事例
株式会社Lang-8の代表者である喜洋洋氏は上海に留学中ルームメイトと母国語の添削をし合うことで語学力の成長を実感。それを機に語学学習サービスであるLang-8を立ち上げ、京都大学卒業後の2007年に京都で起業。2014年には語学学習サービスであるHiNativeをリリースし、HiNativeのMAUは2020年6月に全世界で1500万人を突破しています。同社は、HiNativeの語学学習サービス、そして京都大学情報学研究科知能情報学専攻知能メディア講座と共同研究契約を締結していくことでさらなる展開が望めると評価され、京都iCAPより2016年に投資を受けています。
株式会社マイオリッジは京都大学発の特許技術を用い、iPS細胞由来心筋細胞を作製しているバイオベンチャー企業です。マイオリッジは細胞医薬の品質保証と安定製造を担う細胞エンジニアリング企業として、iPS 細胞を中心とする幹細胞を原料とした細胞医薬の実用化に貢献する可能性に期待され、京都iCAPより2020年に投資を受けています。
株式会社京都フュージョニアリングは2019年10月に設立され、クリーンで持続的なエネルギーを生み出す、核融合の実現を目指す企業です。また、この起業は京都 iCAP が設立・運営している起業家のための組織である「EntreはpreneurCandidate Club」(ECC-iCAP)の会員から誕生した経営チームとなっています。核融合事業における起業は日本初、世界でも数少ない核融合技術専門のエンジニアリング会社として社会に持続的発展をもたらすと期待され、京都iCAPより2020年に投資と、社外取締役1名の派遣による経営全般の支援を受けています。
今後の展望について
さて、今回は京都iCAPの投資事例を中心に、大学とスタートアップの取組・成長についてご紹介させていただきました。このような大学の技術活用における支援活動はよりスケールしており、2017年より京都大学は指定国立大学法人に指定され、研究成果を活用した収益事業に取り組む子会社を設立・出資できるようになりました。これを受け、2018年6月に設立された株式会社京大オリジナルでは京都大学での研究成果を利用して個別企業向けのコンサルティング、研修・講習サービスを展開しています。今後、京都大学の研究成果は社会への活用の幅が最大化されていくと共に、研究成果自体も進展していくことが期待されます。
2014年12月、京都大学の100%出資により京都大学イノベーションキャピタル株式会社(略称 京都iCAP)が設立しました。京都大学に属する研究者による研究成果を事業化することを目的とする企業に、出資その他の支援を行っています。今回は、京都大学のイノベーションについて、実際に京都iCAPから出資を受けた企業をご紹介させていただきます。