デザイン思考カレッジ

イノベーターズクラブ:google社員や、BCG出身者によるメンタリングで得た経験が、大きな刺激と学びに

2020.07.15 イノベーションジム事務局

壁にぶつかりながらもやり遂げ、ビジネスの大変さと面白さを実感

VISITSで、2019年の年末から2020年5月にかけて実施した長期的なプログラム「イノベーターズクラブ」。これは「デザイン思考テスト」の上位者を対象に、学生3〜5人がチームを組んで事業アイデアを創造するプログラムです。本質的な社会課題を発見し、その解決策について考え、企業訪問やメンタリングを通じてアイデアをブラッシュアップしていきます。
このプログラムで、準優勝したteam3の朴常豪さん(東京大学)、渡邊舜也さん(慶應義塾大学)、高山慶太郎さん(慶應義塾大学)[A1] に、今回の経験を通じて学んだことや感じたことについて話を伺いました。

二転三転しながらも、アイデアを形にすることと向き合った半年間

――みなさんが「イノベーターズクラブ」に興味を持ったきっかけや理由を教えてください。

 

朴さん(以下、敬称略):「社会課題を解決するイノベーターを育てていく」「長期的に事業アイデアを想像していく」というコンセプトですね。私自身、社会課題の解決につながることに関わりたいと思っていたので、気になっていました。「デザイン思考」による選抜もおもしろそうでした。

 

渡邊さん(以下、敬称略):それに加えて、長期間のプロジェクトであることも魅力でした。長期間だと短期間のビジネスコンテストより深いところまでビジネスを考える必要がある。だからこそおもしろいのではないかと思いました。

 

高山さん(以下、敬称略):私は「就職活動に有利に働いたらいいな」と思ったからです。今までビジネスというものに携わったことがなかったので、学生のうちに知っておきたい、と。優秀な人にも出会えるんじゃないかという期待もありましたね。

 

――みなさんが提案したサービスが生まれた背景や想いを教えてください。

 

渡邊:私たちが提案した「Mama Ranger」は、ランチを通じて専業主婦と独身会社員をつなげる福利厚生システムです。でも、ここに至るまでアイデアが二転三転したんですよ。変えすぎて怒られるほどでした(笑)。

 

高山:このアイデアを思いついたのは、私が不健康な食生活だったからです。「手料理を食べたい」という願いを叶えられるサービスがあれば、と考えました。はじめのアイデアは、一人暮らしの大学生に専業主婦が手料理を届ける消費者向けサービスでした。でも、小さなコミュニティのほうが実現しやすいのではと気付き、会社の福利厚生に切り替えて提案しました。デザイン思考は「共感」から始まると言われていますが、まさに自分自身のちょっとした不満・不安に共感・気づいたことから生まれたサービスなんです(笑)。

 

朴:この世にまだない新規ビジネスのアイデアを創出ことは大変困難です。ですから、アイデアの新規性よりもそれを実現させる情熱とストーリーを持っていることのほうが大事なのでは、と考えました。けれど、チームの想いがなかなか同じ方向でそろわず、着地点が定まりませんでした。そんななかで出てきたのが、高山くんのアイデアです。高山くん自身の体験に基づくアイデアだったので、そこから一気に進んでいきました。

 

――何が一番大変でしたか?

 

渡邊:アイデアがどんどん変更されていくので、モチベーションを維持するのが大変でした。頑張ってスライドを作って完成させたのに、ゼロからやり直しになることも。そういったことが何度も重なって、精神的につらかったです。

 

高山:私はアイデアを思いついたらどんどん話してしまうタイプです。だから何度も変更することになったのかなと、今は反省しています。

 

渡邉:でも変更点は自分も納得できるものだったので、葛藤しながらも受け入れていきました。こういった目まぐるしい変更は、ビジネスではよくあることなんだろうなとも感じますよ。それに今思えば、以前のアイデアはその着想段階での「課題設定」が甘く、本当に解決したい、解決しないといけないと思う課題を特定できていなかったんだと思います。

メンタリングで得た経験が、大きな刺激と学びに

――特に印象に残っていることはありますか?

 

朴:Googleのオフィスに行けたことです。従来の“オフィス”の概念を覆されました。ダンスゲームが社内にあったり、料理教室やビュッフェがあったりと、衝撃が大きかったです。一番おもしろいと思ったシステムは、社内にスタートアップ企業を入居させる施設があったことです。

 

高山:社内見学の際、社員の方々がゲームしているのを見て「遊んでいるなあ」って思ったけれど、その方々が私たちのアイデアには本当に真剣に向き合い、考えてくださって。そのメリハリや仕事への情熱は、優秀な方々の集う会社だということを改めて感じさせました。

 

渡邉:あのオフィスは本当に衝撃的でした。「こんなところで働いている人がいるんだな」と。今年は就職活動の年ですが、Googleで働くことも一つの夢になっています。

 

――最後に、この「イノベーターズクラブ」を通してどんな学びや気づきがあったか、これから目指したいことなどを教えてください。

 

渡邊:ビジネスの困難さとおもしろさです。事業を進める難しさは感じましたが、それを乗り越えて最終的に優秀賞を取れたのがうれしかったし、達成感もありました。この体験に刺激を受けたので、将来的には、新規事業立案に関わりたいです。そのために、日頃から気づいたことや、新しいと感じたことをストックしていく必要性を感じました。これは習慣として日々の生活に取り入れていきたいです。

 

高山:このプログラムを通じて、ビジネス立案の流れを学べてよかったです。Googleの方々やチームのメンバーなど、優秀な人から技術を盗む必要性を強く感じたし、どうすればそれができるかを考える力を養えたように感じます。今後のキャリアは検討中ですが、変化の多い環境で自らを成長させていきたいと考えています。また、自分の強みはアイデアをどんどん出せることだと感じたので、この強みを生かして社会貢献していきたいです。

 

朴:チームビルディングが最大の学びです。半年間という長期間に渡り、スケジューリングをしつつ、皆でアイデアを出し続け、モチベーションも維持することは難しいことでしたが、いい経験になりました。

 

―team3のみなさん、ありがとうございました。

イノベーターズクラブ最優勝チーム 学生プロフィール

※2020年7月時点

 

朴常豪さん(東京大学大学院修士2年生)
日本マイクロソフト社主催ビジネスコンテスト2位入賞等ビジネスコンテストの出場・受賞経験多数。医療ITスタートアップ等での長期インターンも経験。AIインキュベーションコミュニティのKERNELや、医療・福祉建築研究会に所属する傍ら、大学院の研究では「病院建築の平面図最適化」に取り組んでいる。外資系コンサルティングファーム,外資系IT企業内定。

 

渡邉舜也さん(慶應義塾大学3年生)
複数のビジネスコンテストへの出場経験有。在籍する商学部では統計ソフト「R」を用いた企業研究を行う。WEBシステム会社にてWEBエンジニアとしての長期インターンを経験。現在、就職に向けて、自分自身の価値観、社会課題などをもとに就職活動を進めている。

 

髙山慶太郎さん(慶應義塾大学3年生)
P&G CEO Challengeに出場し、JapanRoundで優勝。APACRound出場。所属する法律学部では、田村次朗ゼミにてディベート形式の議論を通じ国際経済法、独占禁止法、交渉学について学んでいる。また友人と旅サイトを企画・構築・運営し、マーケティング活動にも従事。将来は、変化の激しい環境に身をおける企業で自らの成長を加速し、社会にインパクトを与えられる人物を目指す。