事例紹介HELLO,VISITSエコシステムの採用サポート事例

パナソニック株式会社

デザイン組織強化に向けた長期的人事戦略始動。認知・共感から始まる全社的取組とその背景

パナソニック株式会社 採用人事 石黒様、太田様

デザイン経営を掲げるパナソニックは、デザイン組織の強化に向けた長期的な人事戦略の一歩として、2019年10月より約8ヶ月に及び、認知獲得から採用までを視野に入れたデザイン・クリエイティブ職種の新卒採用の取組みを実施。デザイン思考ワークショップ等を含む、多様な切り口のイベントを行うなど、本取組みをリードしたパナソニック株式会社 採用人事の石黒様、太田様、コミュニケーションデザイナーの黒田様にお話を伺いました。

  • プロジェクト概要Outline
  • 実施内容
    デザイン・クリエイティブ人材の新卒採用に向け、デザイン思考のワークショップを含む3回のイベントを実施
    実施期間
    2019年11月
  • 実施背景Background
  • ビジネスの各分野で必要とされるデザイン・クリエイティブ人材を長期的に採用・配置・育成していくため、新卒採用の側面においてもこれまでとは異なる母集団形成を試み、HELLO, VISITSと合同で企画を実施。

  • 実施結果Action
    • ・3名のデザイン・クリエイティブ職種の学生を採用
    • ・偶然の出会いを信じて待つ採用では出会えなかった学生との接点創出
    • ・現場で活躍するデザイナーとのワークを通じ、相互マッチングをした上での採用

「デザインの力」を重要視し、新卒への魅力発信から組織設計まで一気通貫した長期的人材戦略を始動

– なぜ今回このような取組を実施したのですか?

石黒:1951年に日本初の社内にデザイン部門が立ち上がってから現在に至るまで、デザイン・クリエイティブはパナソニックにとって非常に大切役割を果たしてきました。そして、今日では世の中的にも「デザイン=見た目」という色やモノの形を創造するという狭義なものから、事業戦略・製品・サービス開発のスタート時からデザインのメンバーが参画することやデザイン手法による顧客の潜在ニーズの発見など、デザインが果たす役割は広義になっています。それは、グローバルに幅広く事業を展開している当社においても同様です。
しかし、これまで新卒採用におけるデザイン・クリエイティブ職の採用は、家電の会社というイメージが強く、そのイメージに引っ張られてくるセレンディピティ(※幸運な偶然)に頼っている部分が大半で、より多くの方々にパナソニックでデザイン・クリエイティブ職として働く魅力について十分にお伝えする機会を持つことができていませんでした。そのため、まずは、こちらから積極的にデザイン・クリエイティブ職としてパナソニックで働く魅力について発信していくことからスタートし、職場とのマッチング、採用、配置、育成、活躍までを全体的な組織設計を含め、一気通貫で社内横断的かつ長期的に取り組む必要がありました。

– パナソニックの「デザインの力を強くするための改革」についても少し教えていただけますか?

太田:改革のポイントは「人材」「プロセス」「環境」の3つです。例えば、「人材」では、これからのデザインに求められるBTC人材の育成強化に取り組んでいます。クリエイティブ(C)の力を持ちながらビジネス(B)がわかるBC人材や、クリエイティブ(C)の力を持ちながらテクノロジー(T)がわかるTC人材などのマルチスキルを持つBTC人材の育成により、広義のデザインに対応できる人材を育てる環境を整えています。
石黒:こういった社内の改革も含めて、デザイン・クリエイティブ職の方にとって活躍できる環境を整えています。世の中はどんどん変化し続け、価値観が多様になっています。しかし、人の想いに応え、社会を見つめ、未来を丁寧に創りつづけることは変わらずパナソニックのデザインで実現していきたいと考えています。その想いに共感してくださる方に仲間になっていただけるとうれしいです。

偶然の出会いを待つ採用ではなく、こちらから出会いを作る採用の重要性を感じた

– 黒田さんは美大出身のデザイナーですが、ワークに参加されてみていかがでしたか?

黒田:今回のワークショップを通じて、パナソニックのデザインだからできることや仕事のやりがいについて、パナソニックのデザイナーとして実際に働く人の言葉でお伝えすることができました。この1日のワークショップを通じて、「なんとなくパナソニックのデザインに興味がある」という段階の学生さんが「モノだけでなくコトを考える姿勢に惹かれました」「パナソニックにおけるデザインの重要性を理解できました」など、これまで伝えられていなかった魅力を感じ取ってくださったことはとてもうれしかったです。ワークショップに参加してくださった学生さんのなかには、「こんな方がパナソニックに来てくださったら、ワクワクすることが起きそうだな」と感じさせてくださる方も沢山いらっしゃって、一緒に働きたいなと私がワクワクしてしまいました。

– 実施結果はいかがでしたか?

太田:3名(美大系2名、理系1名)の学生さんが採用に至りました。そもそも、これまでの活動のままだと美術・芸術系の学生さんとは接点すら持てていなかったことを考えると、美術・芸術系の学生さんとセミナーやワークショップで相互理解を深め、採用に繋がったことは大きな成果でした。また、理系の学生さんの専攻は建築でした。「偶然の出会いを信じて待つ採用」ではなく、「こちらから仲間になってほしい学生さんのもとに出向く採用」の重要性を痛感しました。
パナソニックには家電だけではなく住宅、車載、デバイスなど30を越える事業があり、そのすべてでデザイン・クリエイティブの力が必要とされています。大手代理店のイメージが強い、リサーチ、クリエイター、デザインコンサルという幅広い仕事があるだけではなく、自分たち自身の商品やサービスを対象にデザイン・クリエイティブの力を発揮できる魅力を伝えることが出来ました。
黒田:パナソニックでは、デザイナーと一口に言っても、様々な分野のデザイナーが在籍しており、各分野それぞれにスペシャリスト達がいる環境は珍しいですし、恵まれていると感じています。そういった部分もお伝えすることができたので、採用に繋がらなかったとしても、中長期視点でみたときに非常に意味があったと思います。