【前編】デザインの力を存分に活かせる組織づくりへの挑戦

パナソニックのデザイン、そのルーツは1950年代にまで遡ることをご存知だろうか。創業者 松下幸之助がアメリカでの市場視察でビジネスの決め手がデザインになっている現地を目の当たりにし、「これからはデザインの時代である」と痛感したところからはじまる。そして、1951年に日本で初めての企業内デザイン部門がパナソニックに誕生した。そんなパナソニックがなぜ、このタイミングで改めてデザイン組織強化に力をいれるのか。そして、「デザインの力で世の中をより良くしたい」と想う新たな仲間とどのような未来をつくっていきたいのか。パナソニック株式会社 採用人事 石黒様、太田様、コミュニケーションデザイナー黒田様にお話を伺いました。

人の想いに応え、社会を見つめ、未来を丁寧に創りつづける。それが、パナソニックのデザイン。

ーなぜ、今回このような取り組みをスタートしたのですか?

石黒:1951年に日本初の社内にデザイン部門が立ち上がってから現在に至るまで、デザイン・クリエイティブはパナソニックにとって非常に大切な役割を果たしてきました。そして、今日では世の中的にも「デザイン=見た目」という色やモノの形を創造するという狭義なものから、事業戦略・製品・サービス開発のスタート時からデザインのメンバーが参画することやデザイン手法による顧客の潜在ニーズの発見など、デザインが果たす役割は広義になっています。それは、グローバルに幅広く事業を展開している当社においても同様の変化が起こっています。広義な意味でのデザイン経営を実践しながらも、プロダクトデザインやコミュニケーションデザインなど全てのアウトプットにパナソニックとしての一貫性を持たせ、いかに高いクオリティのものを創りあげていくのかが非常に重要だと考えています。
多様な経験に基づいたデザイン・クリエイティブの力を必要とするフィールドやプロセスがどんどん広がっています。しかし、これまで新卒採用におけるデザイン・クリエイティブ職の採用はセレンディピティ(※幸運な偶然)に頼っている部分が大半で、より多くの方々にパナソニックでデザイン・クリエイティブ職として働く魅力について十分にお伝えする機会を持つことができていませんでした。だからまずは、こちらから積極的にデザイン・クリエイティブ職としてパナソニックで働く魅力についてしっかりと発信していくことからスタートし、採用、職場とのマッチング、配属、育成、活躍していただくところまでを全体的な組織設計を含め、一気通貫で社内横断的かつ長期的に取り組む必要がありました。

ーパナソニックでは、デザインの力を強くするための改革が行われているとお伺いしました。そちらについても少し教えていただけますか?

太田:改革のポイントは「人材」「プロセス」「環境」の3つです。例えば、「人材」では、これからのデザインに求められるBTC人材の育成強化に取り組んでいます。クリエイティブ(C)の力を持ちながらビジネス(B)がわかるBC人材や、クリエイティブ(C)の力を持ちながらテクノロジー(T)がわかるTC人材などのマルチスキルを持つBTC人材の育成により、広義のデザインに対応できる人材を育てる環境を整えています。

石黒:こういった社内の改革も含めて、デザイン・クリエイティブ職の方にとって活躍できる環境を整えています。
世の中はどんどん変化し続け、価値観が多様になっています。しかし、人の想いに応え、社会を見つめ、未来を丁寧に創りつづけることは変わらずパナソニックのデザインで実現していきたいと考えています。その想いに共感してくださる方に仲間になっていただけるとうれしいです。

各領域のプロフェッショナルが集うパナソニックのデザインチーム

ー事業会社では、事業とデザインは別物と考えられていたり、クリエイティブ業務は外部組織に依頼したり、協働するケースも多いですが、パナソニックならではの、デザイン組織の魅力はどんなところにありますか?

黒田:パナソニックでは、デザイナーと一口に言っても、様々な分野のデザイナーが在籍しています。大きくは「気づく」「考える」「つくる」「伝える」という4つのプロセスに分かれています。例えば、私は「伝える」ということを中心に携わっていますし、「気づく」の領域ではデザインリサーチャーが徹底的にお客様の隠れたインサイトを深掘りして考え、「つくる」部門ではプロダクトデザイナーはもちろん、UI/UXを専門に扱うチームもいます。一口にデザインと言ってもここまで広く深いスペシャリスト達がいる環境は珍しいですし、恵まれていると感じています。現在は「気づく」「考える」「つくる」「伝える」のプロセスに組織を横断して携われるようなプロジェクトにも参画しています。デザインといっても、「つくる」ところだけではなく、幅広い土壌でチャレンジできるところが魅力だと感じています。

太田:パナソニックには家電だけではなく住宅、車載、デバイスなど30を越える事業があり、そのすべてでデザイン・クリエイティブの力が必要とされています。大手代理店のイメージが強い、リサーチ、クリエイター、デザインコンサルという幅広い仕事があるだけではなく、自分たち自身の商品やサービスを対象にデザイン・クリエイティブの力を発揮できるところが魅力です。
ー 後編へ続く ー

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