大学教授とベンチャー社長が語る!起業の魅力とは?【後編】

2022.08.25イノベーションジム事務局
#デザイン思考 #イノベーション #キャリア #Society5.0

就職活動を行う中で、一度は起業という選択肢について考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。HELLO, VISITS北海道大学では、コミュニケーター主催で北大教授とベンチャー企業の社長が起業の魅力について語るイベントを行いました。登壇者は、40社近くの会社の設立や再建を果たした後、母校北海道大学に戻られた土屋教授と、VISITS Technologies株式会社代表取締役の松本です。後編となる本記事では、学生からの悩みに対する起業経験の豊富なお二人のアドバイスをご紹介します。

指針となるビジョンを明確にする


松本:私がNPO法人を作った際に、最初に「このルールに同意してください」という条件を提示して協賛企業を集めました。企業側にはハードルが高い条件もありましたが、それでも同意していただけたのは、我々のビジョンに共感してくれたからだと思うんです。桃太郎のような話で「あの鬼を倒したら世の中が良くなると思うから仲間になってくれないか」「じゃあ俺も協力するよ」といったような、企業との関係性がビジョンへの共感によって成り立っていた経営でした。

つまり、多くの共感を得られるような素晴らしいビジョンが描けているかどうかがポイントで、それがある限り絶対ブレないんですよね。ときには「それは私たちのビジョンとずれますね、それならやめてください」と言えるぐらいの一本の筋を持っておくことが私はとても重要だと思います。

人生に客観的な答えはない


土屋教授(以下、敬称略):優先順位よりもまず自分の明確な目標を達成するところからやっていくことが重要だと思います。どこまでやるかという目標をきちんと最初に設定することが必要ですね。

松本:私の場合はやりたいと思ったらすぐ動きます。起業家が他の人と違うのは思い立ったらすぐ行動することで、やりたいと思った瞬間に動くことはとても重要です。もしかしたら、中途半端に終わってしまう人は、何かにハマる力や、良さに気付く力が弱いのかもしれません。

デザイン思考に近いところも結構あって、自分がどうありたいかを考えた時に、ある程度の選択肢や優先順位は決まるはずです。とはいえ、最初に論理的に優先順位を考えていたとしても、やっている途中に何かが楽しくなって成し遂げたいビジョンが変わってしまうことも若いうちはいいと思っています。学生のうちから自分が何者なのか気付いている人って全然いなくて、普段からアンテナを立てていると40歳くらいになってやっとぼんやりと見え始めるんですよね。

土屋:僕は松本さんほど若い頃、何かにハマって行動していませんでした。マニュアルや教科書を読んでも理解できないこともたくさんありました。その時はまずサラッとやって置いておき、何年か経ってから読み直すと理解できるようになっていたと思います。このように才能が無くても最終的には達成できるようにしてきたので、まずはすぐにやってみて、そこで達成できなかったことは一旦横に置いて、後からもう一度チャレンジしてみるということを繰り返し、達成することが大事だと思います。やり遂げることは重要なのです。あとは人生と照らし合わせたスケジュールの管理ですね。

松本:世の中に正解はないと思います。さらに言えば、成功と失敗もありません。すべて決めるのは自分であって、数学みたいに客観的な答えは全くないんですよね。

就活は比較的重要ではあるけれど、そこにも成功・失敗はありません。違う経験をした方が結果的に「あの時回り道してでも、貴重な経験ができて良かったな」と思ったりすることもあります。そのため、あまり目の前のことに一喜一憂しすぎず、自分はどんな人間なのか、どんなことに幸せを感じるのかにアンテナを立てて、ありとあらゆる人との出会いやそこからの気付きを大切にして生きていくと、気付いた時には自分が成長していて幸せな人生になるんじゃないかなと思います。


登壇者:
北海道大学 産学・地域協働推進機構 産学連携推進本部 土屋 努特任教授
スタートアップ創出部門の部門長で、担当分野は大学の研究知財の社会実装及び起業家教育。北海道大学法学部84年卒。現みずほFG前身の信託銀行に入社。10年以上にわたり海外活動勤務を含めた国際金融の第一線で戦った後、96年独立。IT企業を皮切りに硬軟あわせ40社近い会社の設立、資本参加、救済融資などを行いグループを形成。2015年北大に共同研究員として戻り、客員教授を経て現職に就任。

VISITS Technologies株式会社 代表取締役 松本 勝氏
東京大学大学院工学系研究科修了後、ゴールドマンサックス入社。株式トレーダー、金利デリバティブトレーダーを経て、2010年に人工知能を用いた投資ファンドを設立。2014年に当社を設立し、人の創造性を可視化する「デザイン思考テスト」を独自技術(日米特許取得)により開発。また、企業向け意思決定DXツール「VISITS forms」等、企業のイノベーション・DX支援サービスを幅広く展開。

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